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大関博美
『極限状況を刻む俳句 ソ連抑留者・満州引揚げ者の証言に学ぶ』
父母は畑仕事や酪農に休む暇なく働く日々で、幼い私は、邪魔にならぬように留守番をして過ごすことが多かった。さしたる遊びも無く、テレビに飽きると家の中を探索した。ある時、神棚の脇の方に父の物らしい不思議な帽子を見つけて遊んでいたら、母に「それはおとうさんの大切にしている帽子だから、そっとしておきなさいね」と遊ぶことを禁じられたことが心に刻まれた。/シベリアの父を語らぬ防寒帽  博美 (本文より)

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解説:鈴木比佐雄
四六判/312頁/上製本 ISBN978-4-86435-575-9 C0095
定価:2,200円(税込)

大関博美『極限状況を刻む俳句 ソ連抑留者・満州引揚げ者の証言に学ぶ』

発売:2023年6月13日



目次

ソ連・モンゴル領内日本人収容所分布・各地点死亡者発生状況概見図
戦後ソ連に抑留された軍人・軍属等の移送状況

序 章 父の語り得ぬソ連(シベリア)抑留体験

第一章 日清・日露戦争からアジア・太平洋戦争の歴史を踏まえて

一 はじめに
二 日清戦争から日露戦争へ
三 日露戦争
四 日露戦争から満州事変へ
五 第一次世界大戦へ
六 ソ連(シベリア)への出兵―七年戦争への道
七 満州事変から満州建国まで
八 日本の国際連盟の脱退
九 満蒙開拓と昭和の防人
十 大陸の花嫁について
十一 日中戦争への道
十二 ノモンハン事件(戦争)から第二次世界大戦・太平洋戦争へ
十三 第一章のおわりに

第二章 ソ連(シベリア)抑留者の体験談

抑留者・山田治男 ソ連軍の侵攻
抑留者・中島裕 『我が青春の軌跡』より
抑留者の尊厳から学ぶこと

第三章 ソ連(シベリア)抑留俳句を読む

小田保―ソ連兵より露語盗む
石丸信義―死馬の肉盗み来て
黒谷星音―凍パンと死
庄子真青海―誰の骨鳴る結氷期
高木一郎―炎天を銃もて撲たれ
長谷川宇一―ただ黙否蠅つるみ
川島炬士―大気が重いと病む身
鎌田翠山―サキソールの葉の露を吸ふ

第四章 戦後七十年を経てのソ連(シベリア)抑留俳句

百瀬石涛子の証言と句集『俘虜語り』を読む
一 シベリア抑留体験を語る
二 百瀬石涛子『俘虜語り』を読む

第五章 満蒙引揚げの俳句を読む

井筒紀久枝『大陸の花嫁』を読む
天川悦子句文集『遠きふるさと』を読む

全章のまとめとして

一 極限状況の今ここを支える俳句の働き
二 ソ連抑留での「句座」は生きることへどのように働いたか
三 極限状況の今ここを生きるための俳句(震災詠について)


主な参考文献
解説 鈴木比佐雄
おわりに

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